「おいチビ!これ取ってみろよ」



ランドセルに付いていた私の給食袋を奪った男の子が意地悪な笑みを浮かべ天高く給食袋を掲げている。




「ほら取ってみろよ!チ~ビッ、」



「チ~ビッ、チ~ビッ、チ~ビッ...」



巻き起こる『チビ』コール。



私は泣かない、だって泣いたってなにも変わらないことに気づいたから。


誰も、誰も、私を助けてくれない。



諦めていた私の目の前に誰かの背中が映った。



私がチビだからなのかもしれないけど、大きくて、心強い、そんな背中。




見上げると、男の子............



そこまでで記憶が途切れてしまう。




別に記憶がごっそり無いわけではないんだけど、その助けてくれた男の子との記憶が無いのだ。




顔も分からない、私のヒーロー。