無意識のうちに、爽太の制服のセーターの裾をぎゅっとつかんだ。
体が固まってしまって動けない…声も出ない。
そんなあたしをよそに、ヒロは彼女に回した腕を解くと2人共に階段を登って、あたしたちの方へ歩み寄る。
…こっちに、来ないで。
そう思ったけど、あたしのそんな思いは無駄に終わった。
あたしの目の前に立ったヒロは、その高い身長であたしを見下しているみたいで。
怖い…嫌だ…。
「咲、何怯えてんの?俺ら付き合ってた仲じゃん、一応。」
「…っ!」
…一応。
もうヒロのことは好きでもなんでもないけど…その言葉に、胸がズキリと痛んだ。
「今度の彼氏は新居 爽太?噂になってるもんなぁ!」
「ちが…っ」
ヒロには、そんなの関係ないよ。
そうやってはっきり言いたいのに、いえない。
ニヤニヤと、なめまわすようにあたしのことを見下ろすヒロに嫌悪感でいっぱいになる。
なんなの…ヒロは、何がしたいの?
気持ち悪い…怖い…!



