「とにかく…ずぶ濡れじゃないの。風邪ひくよ?」 「大丈夫だよ。こんなぬるい雨」 「ばかっ」 確か会館内にはタオルも置いてあったはず。 家に戻るより早い、と会館の錆びた郵便受けの裏に隠してあった鍵で扉を開け、押し込めるように多希を中へ入れた。