「おー懐かしい〜」



背伸びをする有馬の後ろ姿を見て、菜美はあの頃の学ランの有馬が一瞬プレイバックしたのを感じる。



すると有馬が菜美を振り返った。



「な?懐かしくね?」



「うん…」



あの頃と変わらない有馬の笑顔に、菜美は思わずキュンとなる。



そして二人はグラウンド前の階段に座る。



「俺…中学好きだったな…学生時代の中でも一番」



「うん…私も…」



ここは、有馬との思い出がある唯一の場所だし。



「だから、ここで…宮崎と話したかった、ちゃんと…」



「え?…ちゃんと…」



「あの頃の俺は、ちゃんと宮崎に好きだって言えなかった…」



「…有馬…」



「いざ彼氏になっても、どうしたらいいのか分からなくて…宮崎とのデートとかじゃなくて、友達と遊んだりして…」



「…うん」



私達には、一緒に帰るぐらいしか、思い出が残っていない。