「クリーニング…してから返すから」 「ぷっ…別にいーし、ほら行くぞっ」 「うん…」 有馬のジャケットを頭の上からかぶり、菜実も有馬と一緒にアパートまで走る。 そしてアパートに着き、二人は階段を上がる。 「駅出たら急に降り出したよな?」 「うん…」 菜実はびしょ濡れになった有馬のジャケットと、肩の濡れてる有馬のYシャツ後ろ姿を見て、思わず…ぎゅっとジャケットを握る。 だから…優しさの矛先が違うんだけどな。 眉を下げる菜実。