午後8:59。危うくあの声を忘れるところだった。柚樹は妹の「夜空が綺麗だね」というひと言で誰かの声を思い出したのだった。

柚樹は星が瞬く綺麗な星空を見つめた。

すると、可愛らしい「うわあああ!!怖いよぉ~!!」という声が聞こえた。不審者でも
いたのかな?と冗談混じりに思った。・・・と、なにかがこっちに向かって吹っ飛んでくる。

「えっ、ちょっ、えぇ~!?」柚樹はとっさに窓を開け、クッションを持って身構えた。本当に来る!!もう終わりだ!!目をつぶった時だった。

         ボフっ。

「ん?・・・な、何コレ~!!」目の前のクッションにはピンク色をした、変な生物。
そして、柚樹に向かってこう言った。

「あなたが『エンジェルハート』ねっ!!自分で言うのもなんだけど、私は天界の姫『リルム』よ」と。「ちょ、ちょっとまってよ!!いきなり言われても全然わかんないんだけど!」と反抗する柚樹。

「あ~、やっぱりそうよね」とリルム。「分かってるならもっとやさしく説明してよ」と言ってから「まずは・・・、『天界』ってナニ!?どこにあるの?雲の上とか!?」まさかね!と言おうとする柚樹をさえぎるつもりか、リルムは口を開いた。

「そ、雲の上」。そっけなく答えるリルム。「その天界が今、悪界(あっかい)の王に支配されそうなの。で、悪界の王を倒すのが『エンジェルトランプ』の役目。エンジェルトランプは女子2人、男子2、3人で組まれてるの」

「じゃあウチの予想だけど、トランプで赤色はハートとダイヤだから、もう1人の女子は『エンジェルダイヤ』で、男子は『エンジェルスペード』と『エンジェルクラブ?』」と柚樹はリルムに聞く。するとリルムは「そう!言っとくけど最低でも2人が揃わないと力は発揮できないからね」と言った。

「ジョーカーは?」と柚樹が言うと「相手が強い場合だったら女神様がジョーカーをおくってくれるの。ジョーカーは男子って決まってるわ」とリルム。

「よし!よくわかんないけど、まず『エンジェルダイヤ』を探そう!!」と柚樹は言った。「どうやって!!」と言うリルムに対して「大体見当はつくんだ♪」と、柚樹は胸を張るのだった・・・。