リナリアの王女

 グレンさんからも話しは聞いたのに、彼の口からその話しを聞いて涙が溢れて止まらない。

「あの子に実際に会った時に泣いていたら涙を拭ってあげよう。そう心に誓ったんだ」
こうやってね、と私の溢れて止まらない涙を優しく拭ってくれる。

「そしてあの可愛らしい笑顔を俺に見せてもらうんだって」


上手に笑えただろうか?


彼が望むような笑顔を。
きっと涙でぐしゃぐしゃの笑顔だっただろう。
それでもクラウドは嬉しそうに笑った。

「その娘と結婚すると言って周りに反対された。その時にグレンから慣わしについて聞いた。でも俺の頭の中にはあの女の子の事しかなかったんだ。あの娘と結婚できないのならば国王になれなくても良いと思った。でもある時、急に周りが賛成してくれたんだ」
「あれだけ反対していたくせにって思ったけど、あの娘と結婚出来るなら都合が良いって思ったよ」
「でもその娘が異世界にいるなんて思ってもみなかった」

「どうして異世界にいるって分かったの?」
私は涙を拭いながら彼に聞いた。
「ああ、そんなに強く擦ったら痛くなるからだめだよ」
クラウドは私の手を止め、代わりに彼の手で私の涙を拭う。




「ある時夢で知ったんだ。何もない白い空間にいる夢だった。そこにあった水晶に触れた途端、水晶が光り出した」