リナリアの王女





ほら・・・。




予想通り彼は傷ついたような顔をした。
それでも黙って私の話しを聞いてくれるクラウドは、やっぱり私に甘過ぎると思う。

「勿論、クラウドが国王になりたいが為にってわけじゃなくて、その・・・国の為に私を必要としているんじゃないかって思いが胸のどこかにずっとあったの」

だって私には国王の妻になれる程の教養なんてない。


ただクラウドの運命の相手が私だった。


よくよく考えてみるとクラウドに選択肢はない。
例え私の事が好きじゃなかったとしても、国王になる為には私と一緒になる必要がある。
クラウドがこの国を、国民を大切にしている事は伝わってくる。
責任感の強い彼だ。
そんな彼だからこそ、自分の本当の好きな人ではなく、運命というもので決められた人でも国王になる為には結婚するだろう。

そして例え心から愛している人ではなくても、大切にしてくれるだろう。
そんな人だ。


「でも・・・違ってたって、知ったの」


「どうしただい?」
それまでずっと黙ったまま私の話しを聞いてきたクラウドが私に質問をした。