リナリアの王女


  ―コンコン―

「エリーゼ、入ってもいかな?」
一人だった空間に広がるクラウドの声。
そんな些細な事にもやっぱり鼓動が反応してしまう。
「はい、どうぞ」


自然に返せただろうか?

声は裏返らなかった?


ちょっとした事が気になってしまうんだから本当に困ってしまう。
静かに部屋に入ってきたクラウドは私を見て目を細めた。
「パンツスタイルはこの世界では初めて見るからなんだか新鮮だね」

“この世界で”という事は元の世界でのパンツスタイルの私を見ているという事なんだろう。
本当にどこまで見ているのか心配になってきてしまう。
「変じゃない?」
作業しやすいように髪の毛も簡単にまとめてある。
「変なんかじゃないよ。いつもの格好も綺麗で良いけれど、こういう格好も似合うね」
相変わらず出し惜しみせずに誉め言葉を私に伝えてくれる。
「ありがとう、じゃあ行きましょうか!」
「分かったよ」
クラウドにエスコートされながらバラ園へと向かった。