あれから焼き上がったものを一つ、味見をしてみた。
一応美味しく出来たと思うので、クラウドに持っていこうか悩んでいるところだ。
差し入れを持っていけば休憩の時間を取る事も出来るだろうが、なんといっても、私が普段お茶をする時に食べているお菓子は、ここのシェフさんが作っているものだ。
私が作るものと比べる事がおこがましいぐらい美味しいものを食べているわけで、つまりそれはクラウドも同じなのだから、私が作ったものを美味しいとは思えないかもしれない。
「どうしたら良いのかな・・・」
とりあえず食べてもらって様子を見て、美味しくなさそうだったら食べるのをやめてもらうとか・・・?
でもそうすると今丁度立て込んでいたとしたら空気を読めていない感じになってしまうし、何より急かしてしまうのは申し訳ない。
かといって、渡すだけ渡して帰ってしまえばクラウドの反応を見る事が出来ない。
彼はとても優しい人だ。
例え私の作ったものが美味しくなかったとしても、それを私に言う事はないだろう。
でも大事な国王の体調を、万が一私が作ったマドレーヌで崩してしまったら、それこそお城の方々にも申し訳が立たない・・・。
そう考えると渡さないのが無難なのだろう。
人に渡すだけでこんなにも悩むものだっただろうか・・・?
こう悩んでいる間にもサラちゃんに渡す分は取り分けてあるというのに。
サラちゃんがマドレーヌを食べる事で体調を崩してしまっても良いというわけでは決してない。
という事はクラウドだからこんなにも悩んでいる、という事になる。
何でクラウドだから悩むのだろうか・・・?
国王だから・・・?舌が肥えているだろうから・・・?
それは建前なのかもしれない。
本当はもっと単純なのかもしれない。

