長い階段に差し掛かる。
転んでしまったら追いつかれてしまう。


「シンデレラ…っ!」


あぁ、もう。私はシンデレラじゃないんだって王子様。
ごめんなさい、嘘ついて。


心が締め付けられる。
また後日、シンデレラに会ってみて?私の何千倍も綺麗だから。


きっと…一目惚れすると思うわ。



その時、ヒールが階段に引っかかった。
踏むところを間違えたのだ。


「…っ!」


片方の足のガラスの靴が脱げてしまった。
でもだめ、戻ってる暇なんてない。


すぐさまもう1つのガラスの靴を脱いで手に抱えてまた走り出した。


…私の目から涙が落ちたのは見ないふり。



…王子様は落ちた靴を拾って立ち止まった。
その時どんな顔をして私を見ていたかを私は知らない。