こんなお葬式【長篇】

しばらくの沈黙。

余韻の中に踏み込まない様に、ただ黙っておばあさん様子を見ていた時、小さくノックの音が聞こえた。

ドアに目をやると、献茶の御姉さんが二人。時間を作って焼香にやって来てくれたのだ。

─今晩は、お焼香だけさせて頂いてよろしいですか?

本当に心得えている。

頼まれた事など微塵も感じさせない振る舞い。

たった一人のお通夜のはずが、一声かけただけで二人揃って顔を出してくれる。