こんなお葬式【長篇】

頃合いを見て焼香台をセットしようと二階へ向かうと、普段有るべきはずの収納場所に焼香台は既になかった。

御姉さんが先に準備してくれていたのである。
これが献茶婦の「痒い所に手が届く」所なのだ。

僕はせめて先に自分だけでもと、焼香をあげさせてもらうべく部屋をノックした。

ドアを開けると、……やはりおばあさんは、棺の右側のおじいさんの顔の前に座っていた。

さっきと全く同じ態勢で……。