こんなお葬式【長篇】

夕方になり一日の仕事が終わると、僕はまた会館へ走った。

通常、通夜式の為に数名のスタッフが配置される。

司会進行役、サブスタッフ、駐車場の整備、献茶婦……等がそうである。

しかし、今回はスタッフは絡まない。
通夜と言っても、「式」がないのでスタッフが必要ないのだ。

特に、見積りの際の始めの話通り、僕が着く必要もない。
やらなければいけない事がないのである。

それでもやはり、気になって仕方がなかった僕は、せめて焼香と様子見だけでも……と、会館へ急いだのだった。