こんなお葬式【長篇】

その病院のする紹介が、葬儀社……若しくは葬儀の斡旋になってはいけないのである。

だから僕達は、病院の敷地内では『葬儀』の話はしてはいけない事になっている。


予定通り、 午前五時。
病院へ到着する。

もちろん、正面玄関の鍵は閉じられている。

夜に限らず、鍵の空いている昼間でも一般の入口を使用する事はまずない。
宅急便の様に、「死体お預かりに伺いました。」という訳にはいかない。

基本的に病院には、通常その扉の前には立つこともない場所にひっそり作られた、

裏の扉……。

そんな、死者の出口がある。