こんなお葬式【長篇】

自分の最愛の人の「死」。

それを迎えた時に、あんなに気丈に振る舞い、あんな風に想いを形にする事に、ただ懸命になる事が出来るだろうか。

彼女が紙袋から様々な品を出している際、膝の横に置いてあった紙切れ。

あの時、車を出て家に向かう時に手に持っていたのは、無数に書き出された遺品のメモ書きだった。

メモを片手に、雨の中坂道を上がり、紙袋いっぱいの荷物を用意する。

死の直後に塞ぎ込む隙もなく、頭には送り出す事しかない。

健気に貫く愛情……。