こんなお葬式【長篇】

全員で手を合わせ、棺の蓋を静かに閉める。

向かいの小式場まで、距離にして約10m程である。

僕らは前後に分かれ、棺をゆっくりと持ち上げた。
手にはずっしりと重みが伝わる。

たった10mの距離だが、重みで足がふらつく位に……。

おじいさん一人の重みではない。

棺いっぱいに詰まった、二人の半生の重みだった。

その重みは棺を通して指に伝わる……。せめて、その重みを噛み締めながら祭壇へ向かった。