こんなお葬式【長篇】

途中、納棺を手伝いに来た僕の同僚は、目を丸くしながら入口に立って話を聞いていた。

おばあさんの振る舞い。それはまるで、次の『場所』での生活に困らないように、そんな感じの雰囲気だ。

言葉に詰まる……。

長く連れ添うという事は、こういう事なんだろうか……。

おばあさんの顔には悲愴感はなく、ただ旅立つ伴侶の為に一生懸命なだけなのだ。

僕がうたた寝をしている間、どんな想いで荷物をまとめていたのだろうと思うと、その場面が頭で映像になって浮かぶ。

二人が生きた部屋で、旅立つおじいさんの為に荷物を纏めるおばあさん。
やはり今の顔と同じように、悲壮感等なかったのだろう。

そう思うと、また胸がギュッと締め付けられた。