こんなお葬式【長篇】

そう……。

大抵は一人、二人は残っている。
今し方まで、“生きて”いた身内を一人にはしない。

そしてその癖、病院の……遺体の真横で、早々に打合せまがいの事を始めるケースも少なくない。

因みに、病院への搬送依頼時には、葬儀社は葬儀社であって葬儀社ではない。

あくまでも『搬送業者』なのである。

もちろん、が当社を初めからを指定し、葬儀依頼の流れとして搬送を望む遺族に対しては別だ。

病院が『葬儀社』として紹介すると、それは『紹介』ではなく、『斡旋』になるからである。

しかし、死期が迫ろうが、突然の死であろうが、その後の準備や予定を立てて“その時”を迎える身内は……

以外と少ない。

そんな時、病院が紹介するのが、“取り敢えず”の搬送業者である。

取り敢えずとは、病で無くなった“物”を、いつまでもベッドへ寝かしておく訳にはいかないので、

『とりあえず』

移動を早急に行なって貰う必要がある。

その為の、『搬送業者』の紹介だ。