こんなお葬式【長篇】

今回、おばあさんは、

─私一人で精進上げもねぇ。何かお昼は考えてしますので……。

と、意味をわかっていながら、あえてこだわらないような口ぶりで精進上げを断った。

確かに、一人で見栄も何もないのだから……と、僕はあまり深く考えずにその申し出を流した。その分、費用が浮くからである。

僕は精進上げの意味を良く知っていた。ただ、この時『葬儀社』として安易に料金の事だけを考えて話を流したのである。
後で後悔するとも思わず……。



打合せはそうやって進んで行った。

─その他はお任せいただいてよろしいですか?

─はぃ、ありがとうございます。本当にお願いして良かったわぁ。

おばあさんは、一度おじいさんの方をちらりと見た後、にっこりと笑ってそう言った。本当にそう思っているのが伝わる。

─じゃあ、祭壇 ごらんになりますよね、どうぞ。

そう言って僕は、今回使用する祭壇を確認して貰う為、向かいの部屋を案内した。そこに既に「有る」祭壇である。