こんなお葬式【長篇】

─では、打合せに入らせて頂きますね。

すでに日は明けて、外は完全に明るくなっている。
この時間は、今まで何度も仕事上起きて何かをしている時間ではあったが、何故だか妙な不安感に襲われる。

雰囲気がそう云う気持ちにさせるのか、気持ちが焦るのか、明け方は生と死の狭間にいるような、そんな感覚がするのだ。

─ところで、先程一度ご自宅へ戻られるような事をおっしゃってましたが、どちらですか?

─緑が丘なんですよ。

何度も自宅へ戻るのは、金銭的な用意の為なのだろうと、念の為確認したが……。
ここから電車で一時間はかかる。

─忘れ物っておっしゃってましたよね?少し距離もあり時間がかかりますよ。

─はぃ……。せやけどどうしても帰らんと……。

本来であれば、余計なお世話である。どこに行こうが、何をしに行こうが、僕達には関係がないのだ。

(やっぱりお金の段取りの事かな?)

何故かやけに動向が気に掛かってしかたがない。自分の感情は押し殺しながら、話を進める。

─そうですか。ちなみにお葬式なんですが……。