こんなお葬式【長篇】

初めての練習は本部長が自ら練習台になって指導にあたってくれた。

本部長は昔は現場で慣らしたベテランではあるが、かなりの天然(と言うか、歳)で、自らが練習台なものだから全く出来栄えが見えない上に、眠くなってしまったらしくついには途中で寝てしまう始末。

62才の本部長が、綿で装飾されて布団に寝ている様は本物のそれと変わらず、
みんなで静かに手を合わせた。

勿論現在も健在だ……。

全ての処置も終わり、蝋燭に火を灯した僕は、

─お線香だけお願い出来ますか?

そうおばあさんに促し、おばあさんと二人でご遺体に手を合わせた。