こんなお葬式【長篇】

精進落としとして振る舞う料理や、通夜振る舞い、親族の出棺用のバスやタクシー、世話役の献茶婦、追加の花。

ある程度の式をしようと思うと、最低限必要な費用は全て、「上乗せ」勘定で話を進める事になる。

しかし、打合せの際にこの図式を理解しているのは“葬儀社”側であって、故人の遺族に対して親切な説明は行き届かない。

出来上がった見積もりを見てびっくり、伝えたはずの予算の倍程になっている事も少なくはない。

─これはどうします?

─これも必要かと……。

こんな具合いに少しづつ話が流れ、その一つ一つを吟味しながら決めていくので、決めた後の必要感が遺族から消える事は少ないのだ。