こんなお葬式【長篇】

理由は簡単……。明らかに費用に余裕はなく、最小限の予算で組まなければならない事は明白だからだ。

「やる気」という意味では、そんなもの出ようはずがないのだ。

そんな中での新しい仕事の電話である。新規の可能性の方が魅力があるに決まっている。

─打合せも一人で大丈夫やろう?特に細かな見積もりも必要なさそうやし。

後付の言葉には無償に腹が立つ……。
何よりこの仕事が金になりそうな仕事であれば、決して手放したりしない事がわかっているからだ。

─そうですね。思った様にさせてもらっていいですか?

あかん──。とは言わないであろう事をわかって、わざと僕はそう聞いた。

─まぁ、ええよ。今あるのが20ゆうてたやろ?追加で幾ら用意できるかわからんけど、後は好きに吊り上げ頑張ってみろや。

吊り上げ等無理だ。部長もまた、それがわかっていながらそう答える。