こんなお葬式【長篇】

僕は故人を部屋までお連れすると、すぐに下で待つおばあさんを部屋へ案内した。

─しばらくお待ち下さいね。

そう言って、またすぐに車から、出掛けに用意した物を部屋へ持ち込む。

そこから、ドライアイスの処置である。

葬儀打合せの最中に、下役が故人の処置をすることになっていた。

レンガ程の大きさのドライアイスに綿を巻き付け、耳の横に顔を挟む様に二つ。
胸元に一つ。お腹に一つ。

そしてそれらを隠すようにして、折り畳んだ綿をうまく使用しながら、体を包んで行くのである。

そうやって故人の処置を進めている中、部長がなかなか上がって来ない事が気になっていた。

おばあさんは処置をずっと側で見ている。通常なら、処置を始めてすぐに葬儀の打合せが進行されるはずなのだ。