こんなお葬式【長篇】

─ホンマはあかんのでしょうが、ご近所には知らせんとこうと思ってます。お付き会いもほとんどないですし。

おばあさんは、想像通りの言葉の矛盾に気付かず続けた。

─気を使われるとしんどくなっちゃいますから……。会館でして貰う方が有り難いんやけどねぇ……。

溜め息まじりでそう答えたおばあさんの顔には、僕の想像上の悲壮感とは逆に、ほんの少しの安堵感があった。

考えて見ればそうかも知れない。

ついさっきまで……、

おじいさんの容体。
死への不安。
死との直面。
孤独感。
早急な対応。
葬儀に関しての無知。
金銭問題。

そして、おじいさんへの想い……。

その全てが、小さい体に大きくのしかかっていたのだ。

そんな中で、たった一つの切ない望み。



おじいさんへ
お花をあげたい……。