こんなお葬式【長篇】

推測でしかないのはわかっている。

ただ何となく、おじいさんの最後を看取った後、葬儀費用を取りに自宅へ戻ったのだろうと思えた。

現に今、おばあさんは“現金”を持っているのだ。

わざわざ取りに戻って存在する“現金”と、「知り合いに借りる」と言うその言葉が、逆に持っているお金の限界を感じさせた。

借りる……。

それも恐らく“知り合い”等ではないのだろう。

葬儀に参列する“知り合い”が居ないと云うのに……。


車中、「良かったぁ」と言うおばあさんに、言葉もかけられず、そんな事を考えていた。