こんなお葬式【長篇】

しかし今回のように、“故人”や“死”の状況に感情移入するのではなく、別の「何か」に心を動かされた事に、正直戸惑っていた。

ベテラン社員の多くは、この「死の儀式」を淡々と進めて行く。

故人の亡骸ですら、慣れてしまえば「物」と同じなのかと思える程に、躊躇がない。

こなす回数が感覚の「何か」を麻痺させて行くのだとすれば、間違いなく僕の「何か」は足踏みをしていた……。