10個ある釜は、一つを除いて全て使用されていた。

遠くの待合室からは子供のはしゃぐ声が聞こえる。

僕だけかも知れないが、こう言う場所での無邪気な子供の声は、妙にせつなく、
そしてまた何故だか癒されるのだ。

一つ空いている釜の前へ誘導され、皆で手を合わした。
もう顔を見る事は出来ない。

おばあさんはいたって穏やかなのが、逆に感情を突く。


今から火葬が始まる……。