こんなお葬式【長篇】

おばあさんは、後ろ姿で涙を拭っている。

いつもなら、お礼も言われない弔電である。
下手をすると、お愛想感覚で流されてしまうものである。

正直僕でさえ、社長の弔電にこれ程の価値を感じたのは初めてかも知れない。

しかし、確実に今、目の前にいる一人の親族の心に届いているのだ。



そして、ロウソクの炎は静かにゆれる……。