こんなお葬式【長篇】

届かないはずの弔電に驚いたおばあさんは、振り返って僕を直視した。

無理もない。
誰にも知らせていないお葬式なのだから……。

僕はそんなおばあさんから視線を落とし、ゆっくりと、そして丁寧に、たった1通の弔電を読み上げた。

最後の1文。

会社名と代表者の名前の段でおばあさんは理解し、声にならない……表情だけの驚きを見せた後、後ろに立つ数名のスタッフに深々と一礼した。

前を向き直す時、その頬に小さな涙が見えた……。