こんなお葬式【長篇】

─そろそろ焼香やろ?

ひたっている僕に、女性スタッフが声をかけてきた。

ついぼっとしてやり過ごす所に気を付かってくれたのだ。

─わかりやすい人やな……。感情が表に出てるで。


笑顔でそう言う彼女は、僕が仕出料理屋に居る頃からの同僚で、僕のよき理解者だ。