都合のわるい女

自分のセリフのクサさに悶えそうになりながら、でも、俺は決死の覚悟で、そう言った。



すると、タカハシは、途端にむっとした顔になる。


見慣れた不機嫌な顔。


頬を少しふくらまし、ピンク色の唇を尖らせた、愛らしい表情。



そして、タカハシが言った言葉は。



「………ニッシーのばーか。 鈍感!」



だった。



「は? なんだって? 鈍感?」



「鈍感だよ!

もー、なんで気づかないわけ!?」



「へ? 何に?」



「だからーっ!」



タカハシが突如、俺の向こう脛に蹴りを繰り出す。


油断しきっていた俺は、甘んじてそれを受け入れる結果となった。



「いって!! は!? なになに!?」



「いくら同じキャンパスだからって、学部も時間割も全然ちがうのに、毎日毎日、『偶然』会うわけないでしょうが!!」