都合のわるい女

金魚鉢のなかの金魚みたいだ、と思って、俺はくすりと笑った。



「あのさぁ。

あれから、全然お前に会わなかっただろ?

俺さ、それがすごく、まあ、なんつうか………アレでさ。

教室移動のときも、食堂とか行くときも、行き帰りのときも、気がついたら、ずっとお前の姿さがしてた。

それなのに、全然会えなくて」



やべえ、恥ずかしい。

なに言ってんだ? 俺。


でも、言わないと。

今、言わないと。



「今まではさ、べつに会おうとしなくても、しょっちゅうお前とすれ違って、顔見て喋ってただろ?

まったく会わない日なんて、なかったじゃん。

だからさ………急に顔見れなくなると、すげえ、さみしかった」