わかってた。


海斗があたしのお姉ちゃんのコト好きだってことくらい。




でも流石に、





「目の前でキスしてるとこ見るのはツライよ…」






体育座りで膝をグッと抱き寄せ、その間に顔を埋める。




海斗はあたしの幼馴染で、小さい頃からあたしの二つ年上のお姉ちゃんに恋心を抱いていた。





バカなあたしは、自分の姉に片想いをしている海斗をスキになった。





自分の感情なのに、これだけはどうやっても制御できなかった。


ボロボロ零れ落ちてくる涙は止まることを知らない。






「だから言ったじゃん。バカ」


「…アキくん」




呆れた様に言う茶髪の彼は海斗の幼馴染。



小さい頃のアキくんは人見知りであたし達の前に姿を現さなかったのだ。




それであまり家から出なくて、遊ぶにしても海斗としか遊ばなかったみたい。


だからあたし達が初めてあったのは高校の入学式。






「ごめんね。泣くつもりはなかったんだけどね」




あはは。と笑って涙を拭けば、その手をアキくんに引っ張られた。





「泣きたい時は泣けばいい」





そう言ってあたしをギュッと抱きしめたアキくんは、ぽんぽんと子供をあやすように優しくあたしの背を叩いた。





「…てか、俺があんたのコト好きなの知ってる?」


「…はい?」





いきなりの告白に目を点にするあたしにアキくんはため息をついた。





「あんたはアイツしか見えてなかったみたいだけど…






俺はあんたのコト好きだから」






そう言ったアキくんはあたしに顔を近づけ、あたしのそれに自分のそれを重ねた。


チュッとリップ音がして離れたそれ。




無意識にそれを目で追いかければ、意地悪そうに笑ってるアキくんの顔があった。




「これからアイツを1ミリも考えられないようにしてやるよ。









覚悟しとけ」






そう言ってアキくんはまたを近づけてきた。





fin.