――なんで!?どうして彼がここにいるの!?

動揺しまくりで掃除をしていた手はピタリと止まり、固まる。

お互いが立ち尽くしたまま、距離はあるものの、見つめ合う形になってしまった。

「…ふ、藤井だろ?藤井まゆ。そうだよな?」

「―――」

警戒心剥き出しで彼を睨むように見つめた。

……名前、覚えているとは思わなかった。


藤井まゆ。23歳。

就職したばかりの会社を早くも辞めたい衝動にかられた、4月中旬。

高校時代の傷が開いた気がした。