「…賛成できん」

そう言うしかなかった。

思い出すのを手伝うと、桃葉のためにならないんじゃないか?

そう思ったから。

「そっか…。でも、行く。」

……、意志が揺るがない。

そこは、
桃葉の良いところでもあり、悪いところでもある。

「鈴さんもね、郁と同じこと言ってたよ?
でも、思い出さないといけない気がして…。それに、鈴さんに迷惑はかけられないでしょ?」

ニコッと優しく微笑む桃葉。

違うよ、違う。

鈴さんは、迷惑だなんて思ってない。

俺らは知ってる。

桃葉が、寝てたとき。

鈴さんは、泣きながら言ってた。

『なんで!全部、全部 1人で抱え込んじゃうの?私がいるのに。
ワガママ言ってくれてもいいのに。』