竜王華伝 (完)

「俺は、木下 郁やで。」

「木下君は、関西の人?」

「…郁でええ。関西の人やない…」

その言葉で聞くのをやめた。

なにか、抱えてる?

そんな不安があったから。

郁は、あたしの知らないあたしを知ってるけど…

あたしは、郁のことを知らないし…最近のあたしも分からない。

だから、聞くのは変だと思った。

そんなことしたら、郁は消えてしまうかも知れない。

ふとそう思った。

でも、どうしたらいいかなんて…分からないわけで。