竜王華伝 (完)

「……嘘、…」

唯を見ながら、唖然としていた。

理由は分からないまま。

「桃葉、あの警察官とはどういう関係?」

「……あ、あれは。知り合いだ、よ…」

戸惑っていた。

目が泳いでいた。直感で嘘だと感じた。

ああ、こいつもか。

嘘つかれるのが嫌いな俺は、もう裏切られた気分でいた。

桃葉、信じてたんだがな。

「いや、桃葉がそんなことするわけない!そうだろ?なぁ!桃葉!」

景は、必死だ。男の親友的な感じだからな。

でも、桃葉は言ったんだ。

「……もういいよ。あたしがやったの。真実は知らなくていい。あたしがやった。あたしが通報したの。」

今考えれば、嘘っぽい言葉。

でも、俺らは頭に入らなかった。

裏切られた、そう思っていただけだった。