獅子王とあやめ姫

 ぴかぴかに磨かれた丸い石を見せる少女。

 はっ、と思わずもぎ取るようにそれを受け取った。

 __ねえ、おねえちゃん、結婚するんでしょ。  

 小さなフィリナの言葉を思い出すと、これまでの色々なことが鮮明によみがえってきた。  

 おねえちゃん、おめでとう。母さんは俺が治すんだから!幸せにするから。国家反逆罪で死刑に処する。
 
 「……。」

 石を握りしめ黙りこんでしまったイーリスを見て、王子は目配せして侍女を退出させた。

 そしてイーリスの方に向き直り目を合わせる。

 「心を落ち着けて聞いてほしい。きみの命を狙っているものがいる。プロドシアとシモノシアは、その人物の息がかかったものたちだったんだ。」

 思いがけない話で、イーリスは王子が何を言っているのか理解できなかった。