丁寧に磨かれた窓から夕陽が差し込み、優しい栗色の髪がきらめく。
「何を言っている。なるべく沢山の兵法書を頭に入れておけと言ったのはフィストスの方だろう。」
いつもは鋭い眼光で周りの人間から恐れられているお目付け役が、眉を下げて困った顔をするのを見てティグリスはいたずらっぽく笑った。
「ところで、殿下。こちらの菓子はどうされたのですか。」
机の端に置かれている、籠に盛られた丸い小さな焼き菓子を示すフィストス。
「ああ、これか?これはイゼルベラが持ってきてくれたんだ。クレータから沢山贈られてきて食べきれないから、と。」
フィストスの目が鋭く光るのを見てティグリスは安心させるように続けた。
「心配するな、きちんと毒味は済ませてある。」
「殿下、いくら妹君からの贈り物だからといって気を抜いてはいけませぬ。クレータは先王が崩御されてから大きく変わってしまいました。何を仕掛けてくるか分かったものではありませぬ。」
「分かった、次からは言われた通り、贈り物は必ずお前を通してから受け取ることにするよ。」
苦笑いするティグリスだったが、不意に真顔になって言った。
「何を言っている。なるべく沢山の兵法書を頭に入れておけと言ったのはフィストスの方だろう。」
いつもは鋭い眼光で周りの人間から恐れられているお目付け役が、眉を下げて困った顔をするのを見てティグリスはいたずらっぽく笑った。
「ところで、殿下。こちらの菓子はどうされたのですか。」
机の端に置かれている、籠に盛られた丸い小さな焼き菓子を示すフィストス。
「ああ、これか?これはイゼルベラが持ってきてくれたんだ。クレータから沢山贈られてきて食べきれないから、と。」
フィストスの目が鋭く光るのを見てティグリスは安心させるように続けた。
「心配するな、きちんと毒味は済ませてある。」
「殿下、いくら妹君からの贈り物だからといって気を抜いてはいけませぬ。クレータは先王が崩御されてから大きく変わってしまいました。何を仕掛けてくるか分かったものではありませぬ。」
「分かった、次からは言われた通り、贈り物は必ずお前を通してから受け取ることにするよ。」
苦笑いするティグリスだったが、不意に真顔になって言った。


