隠れなきゃ、と子供独特の勘が働いた。
追い掛けてきた薬屋のおじさんよりも恐い感じがする。
アイアスが走るとその男も足を速める。
不意に何かが足に絡まり、アイアスは前につんのめってしまった。
男が何かを投げたのだ。
薬を庇って転んだため上手く手をつけず、もろに粗い石畳に膝を打ち付けてしまう。
(くそっ……母さん……!)
男が投げた重りつきの縄が足に絡み付き、立ち上がることも出来ない。
ほどこうとしても焦りと恐怖で手が上手く動かなかった。
「イーリスを襲ったのはお前だな!」
「……。」
カタカタと歯を震わせながら迫ってくる男に精一杯声を張り上げるが、男は何も言わない。
思うまま転がされ怯える子供に対して、嘲りの言葉も発さないのが却って恐怖をあおる。
取り出された短剣に息を呑んだ瞬間、声が聞こえた。
「アイアスー!」
必死の形相で横の筋から駆けつけるイーリス。
「何やってるのイーリス!早く逃げて!」
一瞬恐怖を忘れてイーリスに向かって声を張り上げたが、男が刃を彼女に向ける。
だがイーリスの方が早かった。
投げた靴は弧を描いて見事に男の手に命中し、短剣が宙を舞う。
追い掛けてきた薬屋のおじさんよりも恐い感じがする。
アイアスが走るとその男も足を速める。
不意に何かが足に絡まり、アイアスは前につんのめってしまった。
男が何かを投げたのだ。
薬を庇って転んだため上手く手をつけず、もろに粗い石畳に膝を打ち付けてしまう。
(くそっ……母さん……!)
男が投げた重りつきの縄が足に絡み付き、立ち上がることも出来ない。
ほどこうとしても焦りと恐怖で手が上手く動かなかった。
「イーリスを襲ったのはお前だな!」
「……。」
カタカタと歯を震わせながら迫ってくる男に精一杯声を張り上げるが、男は何も言わない。
思うまま転がされ怯える子供に対して、嘲りの言葉も発さないのが却って恐怖をあおる。
取り出された短剣に息を呑んだ瞬間、声が聞こえた。
「アイアスー!」
必死の形相で横の筋から駆けつけるイーリス。
「何やってるのイーリス!早く逃げて!」
一瞬恐怖を忘れてイーリスに向かって声を張り上げたが、男が刃を彼女に向ける。
だがイーリスの方が早かった。
投げた靴は弧を描いて見事に男の手に命中し、短剣が宙を舞う。


