「これは僕が裏口から運ぶからいいよ。イーリスは表から入って。」
何かを気負っているのかぶっきらぼうにすら聞こえる言い方でイーリスに告げ、くるりとアイアスは背を向けた。
病気で働けない母のためにあんなに気を張っていると思うと切なくなる。
扉を開けると、中の熱気がむっと二人の顔を撫でた。
酒場は先程と変わらぬ賑わいで、おおっお帰りと迎えてくれる客もいる。
「こちらにどうぞ。」
空いているうちで一番風通しのよい席にプローティスを通すと、ひとまずイーリスはお叱りを受ける覚悟を決めて厨房へ向かった。
「あっ、ちょっと待って…ってあーあ、行っちゃった。」
呼び止める変えに気づかず、イーリスはいつもの暖簾をめくった。
「母さん、ごめん!言いつけ守らなくって…でも私が行かなくちゃダメだったんだよ。」
仕切りの布をめくって謝りながら入ったが、イーリスはぴたりと足を止めた。
「母さん…?」
何かを気負っているのかぶっきらぼうにすら聞こえる言い方でイーリスに告げ、くるりとアイアスは背を向けた。
病気で働けない母のためにあんなに気を張っていると思うと切なくなる。
扉を開けると、中の熱気がむっと二人の顔を撫でた。
酒場は先程と変わらぬ賑わいで、おおっお帰りと迎えてくれる客もいる。
「こちらにどうぞ。」
空いているうちで一番風通しのよい席にプローティスを通すと、ひとまずイーリスはお叱りを受ける覚悟を決めて厨房へ向かった。
「あっ、ちょっと待って…ってあーあ、行っちゃった。」
呼び止める変えに気づかず、イーリスはいつもの暖簾をめくった。
「母さん、ごめん!言いつけ守らなくって…でも私が行かなくちゃダメだったんだよ。」
仕切りの布をめくって謝りながら入ったが、イーリスはぴたりと足を止めた。
「母さん…?」


