静かな部屋にいきなり飛び込んできたバァン!という威勢の良い音で、大臣たちの歪んだ笑顔が凍りついた。

 「と、思うじゃねぇか?」

 件の第二王子は、ニヤリと微笑を浮かべながら大臣一人一人の顔をねめつけていった。

 「お、王子、いや───」

 「兄上も哀れな男だぜ。面倒なだけの儀式に付き合わされて、おっ死んだ挙句家臣からはこの言われようだなんてよ。」

 慌てて取り繕おうとする大臣を遮るうつけ王子。 

 「いや、別に構わねえんだ。あんなやつどう言われようが知ったことじゃねえしな。」

 その言葉を聞いて太った男は安堵のため息を小さく吐き出した。

 しかしその襟首に、ゴツゴツとした手が飛ぶように伸ばされた。

 胸元を第二王子にグイッと掴まれ、男の表情は再びこわばった。

 そんな彼を矢のように鋭い目で見据える王子。

 「でも俺の陰口を叩いたことは別だ…。俺は確かに誠実なんて言葉とは程遠いって分かってるけどな、お前らのお人形になるつもりは毛ほどもねンだよ。」