獅子王とあやめ姫

 小さな丸い寄せ菓子が、氷の間にちょこんと佇んでいる。

 色とりどりの果物の果汁を砂糖で煮詰めたものが彩りを加えていた。

 「うわぁ、綺麗ね。頂くのがもったいないわ。」

 「お褒めの言葉、誠に恐縮でございます。」

 イゼルベラの言葉に商人がうやうやしく頭を下げる。

 横に立っていたトリーフィアが口を挟む。

 「何箱になさいますか。」

 「そうね。あまり長くは、持たないのよね?」

 「はい。本日中にお召しいただいた方が。」

 それを聞いて少し考え込むイゼルベラ。

 「どうしようかしら。一箱二つなのよね。二つじゃ少し物足りないし、4つは太ってしまうし……。」

 三箱六つを誰か__イーリスと分けることも今は出来ない。

 彼女が来てからというもの、イゼルベラの生活は少し変わった。