一仕事終え、ふぅ、と腰に手を当てて一息ついた。

 動いて火照った顔に当たる秋の風が心地よい。

 「順調か。」

 急に後ろから声が聴こえ、ハッと姿勢を正した。

 「ロファーロ様。」

 「どうだ、次第は。きちんと拡散したか。」

 「はい。」

 「そうか。ならよい。仕事に戻れ。」

 「はい。」 


   *     *     *


 「今日も美味しかったです。ありがとうございます。」
 
 ぴかぴかになった銀の器を台車に戻しながらイーリスはパピアに礼を言った。

 「いいえ!あっ、よろしいですよ、こういうのは私達の役目ですから!」

 慌てて残りの食器を戻すパピアにイーリスは苦笑した。

 「わたしたち、食事のたんびにこんなことしてますね。」

 ふふふ、と小さく笑い合っていると、扉がとんとんと叩かれた。