獅子王とあやめ姫

 髪をとかしながら、心ここにあらずといったふうにメリッタは呟く。

 ないわよ、と苦笑いして否定するパピアだったが彼女は嘆いていた。

 「だって、あんな綺麗な姫君よりも優しく接されているんでしょう?」

 「そりゃああの方はお辛い状況だもの。ティグリスさまは容姿で判断なさる方ではないでしょ。」

 召し使い用の白い清楚な衣に袖を通しながらパピアは続ける。
 
 「それにあんたはティグリスさまに恋してるからね。変に勘ぐり過ぎなのよ。」

 「ねーえ、ちょっと顔を見るだけでいいのよ。今日の当番代わってくれない?」
 
 「それがね、そうもいかないの。」

 「あら、どうして?」

 「最近ものすごくティグリスさまが厳しいのよ。」