獅子王とあやめ姫

飛び出したイーリス達に慌てて付いてきたメイド達だ。

どこからどうみても微笑ましい仲の良い兄妹なのに、彼らをみてこそこそと何かを囁きあっている。

 何をそんなに目くじら立てることがあるのか、イーリスには皆目分からなかった。

王子の従者達や、あの厳格なフィストスでさえも早く中へ入れという促しもない。

(やけにのんびりしてるわ……まあいいか。)

「そろそろ僕は行くよ。父上を待たせるわけには行かないからね。」

ティグリスの声でイーリスは我に返った。

「それに、そろそろフィストスがしびれを切らして死んでしまうからな。」

いたずらっぽくそう言うと、今度はイーリスに向き直った。

肩に手をポンと置かれ、内心イーリスはびくっとした。

「折りいった話は明日にでもしよう。」

「は、はいっ。」

(びっくりした…なんで肩叩かれたくらいで、私こんなに驚いてるんだろ。)

胸の高鳴りを静めようと努めていると、どこからか刺すような視線を感じた。