受賞の日の朝を迎えた。

 先生は私のそばにいてくれた。

 もし、賞に入ることができなかったら、先生への思いはきっぱりとあきらめよう。そう思って審査の結果が出るのを待った。



 白い布のかかったボディが5体並べられる。

 あの中に私の作った服があるんだろうか。

 1体、2体と白い布が外され、制作者が前に出る。会場に響く司会の声も耳に入らない。どれもステキな作品ばかり。自分の作ったものが幼稚に思える。

 先生は私の手をそっと握った。

「大丈夫。お前の作った服は最高だ」

 涙が出そうだった。

 とうとう最後の1体。

 最後の布が外された。

 私はとっさに目をつぶった。

 先生が私の手を強く握る。



 わっと湧き上がる歓声……。

 それは右端にいた人へ向けられた感嘆の声だった。

 選ばれなかった。私の作品は賞に入らなかった。

 私は先生の手をそっと放し、会場を出た。もうどうやって家に帰ったのかも覚えていない。


 布団をかぶり、じっとしていた。何も考えられなかった。