なんて暖かく笑う人なんだろう。


まるで陽だまりのよう。



そう思ったのは、俺だけじゃなかったはず。


この人に出会ってから、俺たちは驚くほどに変わっていった。



まず、あんなにもわがままを我慢していた尚と慎が、会ったその日からわがままを言うようになった。



アイスが食べたいなんて、今まで言ったことなかったのに。



あの気難しい雷にぃと煌にぃでさえ、その日に心を開いた。



この人は一体…。




それから俺たちが翔にぃに懐くのはあっという間だった。


翔にぃの暖かさに触れ、優しさに触れ、氷のように冷たくなった俺たちの心は、少しずつ溶かされていったんだ。




「陽、どうかしたか?」



夕飯の準備をしている兄弟が、俺を不思議そうに見る。



「何でもないよ」



そう言って輪の中に入っていく。



今ではあの頃の思い出が懐かしいとも思う。



あんなに絶望していたのに。


光なんてなかったのに。




今ではそれがうそみたいだ。